千葉県市川市小岩井 清活動状況/行政視察だより
   こ いわ い  きよし
  小岩井 清
市議会代表団視察報告書
小岩井 清   
                            
●視察先 ドイツ連邦共和国バイエルン州  ローゼンハイム市ほか
●視察日 平成16年5月9日(日)~ 5月15日(土)

ドイツ連邦共和国・ローゼンハイム市への市議会代表団視察報告
市川市では、ローゼンハイム市と今後末永く友好関係を持つことの大切さを感じ、パートナーシティ締結を推進したいとの意向を示していることから、議会として「市川市議会の議決に付すべき事項を定める条例」第2号「都市締結に関すること」を踏まえ、ローゼンハイム市がどのような市で、どのような事業等に取り組まれているか見聞するため議会代表団を組織、視察を行ったものである。以下はその報告である。
1.視察先 ドイツ連邦共和国バイエルン州ローゼンハイム市ほか
2.視察機関 平成16年5月9日(日)~5月15日(土)
3.視察者
団 長 岩井 清郎 議長
市友会 鈴木 衛 議員
緑風会第2 狩野 裕 議員
市民の会・
市民活動ネット
寒川 一郎 議員
緑風会第1 松井 努 議員
フォーラム市川

小岩井 清 議員
4.視察内容
5月9日(水) 12時20分成田空港からルフトハンザ航空715便にて、ドイツ連邦共和国のバイエルン州の州都であるミュンヘンに向けて出発。現地時間の17時35分(時差-7時間)に到着、延べ12時間の長旅でした。
その後、陸路、専用バスにてミュンヘンの北140kmのところにあるドイツ最古の町の一つであるレーゲンスブルグに向けて出発。19時に現地到着、市内のホテルに泊。
 
5月10日(月) レーゲンスブルグ市訪問
  午前10時、レーゲンスブルグ市の都市計画課長であるヨワヒム・ブック氏よりホテル内の会議室で「中世の町並みを活かした街づくり」について説明を受けた。

レーゲンスブルグ市は、西暦179年にローマの皇帝が城塞を築いたもので、第二次世界大戦の被害にも遭わず、旧市街地は中世の面影を残した美しい古都である。レーゲンスブルグ市は、約80㎢の面積に約14万2千人の人口を擁し、シーメンス、BMW、そして東芝の工場があるドナウ河畔の活気のある街でもある。

ヨワヒム氏は、旧市街地の再開発において、古い建物と新しい建築物における環境的・衛生的な都市再開発について語るとともに、文化財産を如何に再開発していくのか、都市の企画、交通等も含めて説明された。その後、街づくりや都市景観について意見交換をした。開発のなかで私権が制限されていること、財政負担の構造についての話が参考になった。最後にヨワヒム氏は再開発に携わっている人たちの標語として「ランガーアーテン」という言葉を教示してくれた。その意味は「長い年月をかけて再開発をしていかなくてはならないという考えだ」と言うことである。

説明後、観光協会に勤める中村正子氏の案内で市内を視察した。狭く曲がりくねった石畳の道を歩き、旧市街にそびえる大聖堂(ドームシュパッツェン)とそれを取り巻くレンガ色の家並みなどは昔のままの落ち着いた雰囲気を残し、中世の世界に吸い込まれてしまいそうな感じであった。

その後、専用バスにてローゼンハイム市に向け出発、17時にローゼンハイム市に到着、7月に開催する「日本展」の会場であるフォルクス・シューレを見学し、ホテルに着。
 
5月11日(火) ローゼンハイム市訪問
  《メートヒエン・レアルシューレ女子校を訪問》
午前9時に昨年、本市の中学生が交流した市立メートヒエン・レアルシューレ女子校を訪問、校長のクレーベルガー女史からお話を伺った。

ドイツでは珍しい女子校であり、女子が勉強する時代ではなかった1916年に開校したバイエルン州では最も古い女子校であり、しかも州立ではなくローゼンハイム市の設立であることも珍しい学校である。

当学校は、5年生から10年生の6年間(10歳から15歳)在籍する。現在、生徒は830人で55人の教員が常時おり、1クラスは約30人前後であり、授業は学年によって異なるが5・6年生は週30時間(1時限45分)で、午前8時から午後1時までが授業であり、午後は任意でスポーツや音楽など地域のクラブ部活動を行う。7年生からは課目の選択制となり、理工系(物理化学主体)、経済系(簿記、経済学主体)、語学系(英語、仏語主体)、家庭科系(栄養学等)の4つに別れ、将来の職業に沿った課目を勉強するとのことであった。

また、クレーベルガー校長は、ドイツでは授業は午前中で終り、給食はないので午後家に帰ってから自分で昼食を作って食べたりしているが、最近ドイツでは父や母も勤める人が多く家族のコミュニケーションの場がないことから学校側も制度を変えていかなくてはいけないと思っている。最近、ドイツでも授業時間が徐々に増えつつあるが、日本の状況について質問するなど教育制度の改革に熱意をもって語ってくれた。
市立メートヒエン・レアルシューレ女子校を訪問後、ローゼンハイム市の文化担当の手配により、ローゼンハイム市街を視察した。市立民族博物館や教会を見学しながら旧市街地を散策した。建物の色の美しさ、黄色やピンク、青や緑などで塗られた建物がズラリと並んでいる。一つひとつが丁寧に保存され、住んでいる人達がいかに大切にしてきたかを感じさせる美しい街であった。

   《ローゼンハイム市長表敬訪問》
その後、11時30分に市役所に到着、早速、ケネーダー文化部長の案内で市長室に案内され、ガブリエーレ・バウアー市長を表敬訪問した。お互いの挨拶の後、両市における交流について約1時間にわたり意見交換が行われた。
ローゼンハイム市の人口は約6万人、議員は44名で市長が議長を兼ね、計45名と理事者7名の部長が出席して運営しているとのことであった。また、バウアー市長は昨年は千葉市長が来てゴミ処理場などを視察、環境問題等に興味をもっていただき、今回議員の皆様にも来ていただき大変嬉しく思っている。また、ご希望があればアレンジしていきたいと語った。市川市との交流等について代表団からの質問に対し、次のように語った。

1.市川市との中学生交流については、生徒たちが交流したことを非常に喜んでおり、良い思い出となっており、大切にしていきたいと思う。

2.保健とか環境については、ローゼンハイム市でも促進している事業である。今後このことについても意見交換できればと思っている。

3.健康のことについては、ドイツでも全体の健康改革に力をいれているところであり市としても取り組んでいる事業である。市川市での取り組み状況は分からないが当市の病院とか見ていただければと思っている。千葉市長も総合病院を見てみたいと言っていたが、健康のどのような分野であるか具体的に詰めていけばお互いの健康観について意見交換できるのではないかと考えている。

4.環境に対しても、具体的なゴミ処理の問題のなかの分野において、どのような事かが分かればそのことについても具体的な話し合いが出来るのではないか考えている。

当市では、ゴミの環境問題のなかでもタバコのポイ捨てに悩んでいる。週2回大きなタンク車で清掃している他、清掃員を雇っているがコストがかかって困っている。
(市川市において、タバコの吸殻のポイ捨て禁止等の運動で配付した携帯タバコ入れを見せたところ、市長が非常に興味を持ち、頂きたいとのことで差し上げた。)
  5.車の問題で道路整備に金がかかって困っており、道路整備にも頭を悩ましているところである。

6.水害対策について困っている。ローゼンハイム市にはイン川という大きな川があり運河等を作ったりして対応しているが、洪水対策についても課題となっている。

7.ローゼンハイム市長が重点的に取り組んでいる事業について

(1)青少年の社会的な問題について取り組んでいる。青少年の雇用問題、仕事先、非行問題、クスリの問題等が大きな課題となっており、文化部長を中心にプロジェクトチームを作り対策を検討している。

(2)青少年の家庭等における問題について取り組んでいる。最近の家庭において、母が勤めに出るなど働く人が多くなっており、子どもや幼児の世話が足りなくなり、帰宅した子ども等の食事の問題など子どもたちのケアを考えなければならない課題となっている。

市長との会談後、議場を見学した。議場正面に8席あり中央に市長が議長として着席し、両側に7名の部長席がある。そして議員席はコの字型に44席が設けられている。

その後、ローゼンハイム市近郊のプリーンのキームゼー湖に向かい、ヘレンインゼル島のヘレンキーゼー城(ルートヴィヒ2世博物館)を視察、19時10分、ホテルに戻った。

   
5月12日(水)  ベルヒテスガーデン視察
  この日は、ローゼンハイム市から南東約90kmの大自然と歴史に囲まれ、東山魁夷画伯にゆかりのあるベルヒテスガーデンを視察、また画伯の連作「白い馬の見える風景」に描かれたと言われるケーニヒス湖を訪れた。ケーニヒス湖は切り立った岩壁に囲まれた静かな美しい湖で、遊覧船で約1時間ほどいくと赤い屋根が印象的な聖バルトロメー僧院の建つ陸地に到着。その途中、ちょうど湖の真ん中あたりで行われるトランペットの演奏が周辺の切り立った岩にこだまする響きは壮観であった。船は湖の静けさと汚染を守るため、騒音等を出さないような電気動力を使用した設計となつている。

その後、ベルヒテスガーデンからバスで約10分位のところにある岩塩鉱を視察、15時に岩塩鉱を出発、17時10分にホテル着。
   
5月13日(木)  スポーツシューレ視察
   この日は時間調整のこともあり、ホテルを午前10時30分に出発、ミュンヘン近郊のスポーツシューレ・オーバーハッヒングを訪問した。この施設は、いわゆる学校ではなく、さまざまな競技の選手合宿や指導者の講習会を行うトレーニング拠点である。

このスポーツシューレ・オーバーハッヒングは、1994年に開設された欧州屈指の施設で、バイエルン州スポーツ連盟とサッカー連盟が運営しており、サッカーを含む52項目のスポーツ施設と宿泊施設を備え、年間5万人が利用するという。ホテル並みの施設に感嘆の声があがるとともに、英才教育、スポーツ指導者の養成システムなど、行き届いたドイツの教育制度には参考になる点が数多くあった。

スポーツシューレ内の施設を見学後、14時頃にスポーツシューレを出発、ミュンヘン市内に入る。訪問団一行は、ドイツ最大の仕掛け時計で有名な新市庁舎等のあるマリエン広場を散策し、午後17時30分頃、ホテルに着。
   
5月14日(金) ホテルを午前9時に出発、ミュンヘン市内にあるニンフェンブルグ城や1972年に開催されたミュンヘン・オリンピックの会場跡であるオリンピック公園や市民農園などを見学した後、ミュンヘン空港に向かう。15時30分、ミュンヘン空港からルフトハンザ航空714便でドイツを離れ、成田に日本時間の15日(土)10時に到着。

《その他》
5月12日(水)、ローゼンハイム市訪問の最後の夕食時にローゼンハイム市のロータリークラブの会長と会食した。会長は親日家であり、本市との市民レベルの交流について協力を約束してくれるとともに、バウアー市長にもお話していただけるとのことであった。
   
 【まとめ】  ローゼンハイム市との交流は、現在、青少年を中心とした教育・スポーツ交流が先行しているが、今後は環境、保健等との交流や街づくりなど都市政策等にもおよび、市川市にとっても意見交換・職員交流等を充実させ、両市の発展に寄与する要素を十分に得られるものと考えられる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
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